こんにちは。ソムリエ ブロガー のみやっちょです。

作家・山本周五郎さんが愛飲していたワインがこちらの「周五郎のヴァン」です
カマンベールに合わせるおすすめのワインの記事でも取り上げたワインです。
甘口の赤ワインです。
- チョコレートやデザートに合わせるワインを探している
- 国産の甘口赤ワインを探している
- 山本周五郎が好きだったワインに興味がある
- カマンベールチーズやブルーチーズに合うワインを探している
という方に『周五郎のヴァン』はおすすめです。
山本周五郎ファンも見逃せないワインですね。
>>日本のカマンベールチーズに合わせるおすすめのワインの記事はコチラから
山本周五郎が絶賛した甘口ワイン「周五郎のヴァン」とは
周五郎のヴァン とは
『周五郎のヴァン』は山梨の GRACE WINE(中央葡萄酒株式会社)が造るFortified wine(酒精強化ワイン)です。
使用ブドウ品種は、マスカットベーリーA と 甲州、そして、フレンチブランデー を使用して造られています。
極甘口の赤ワインです。
グレイスワイン ホームページによると
作家 山本周五郎が生前愛飲し、絶賛した甘口ワイン。数年に亘る樽熟成により醸し出される深い味わいが特徴です。デザートやブルーチーズなどによく合います。ラベルには氏がこのワインを賞賛した模様を紹介しています。題字も氏の直筆です。
『グレイスワイン ホームページ』より引用
デザートやブルーチーズ、チョコレートにも合う甘口の赤ワインが『周五郎のヴァン』なのです。
Fortified wine とは?
『周五郎のヴァン』はフォーティファイドワイン(酒精強化ワイン)です。
フォーティファイドワインとは、2020年度ソムリエ協会教本によると
醸造工程中にアルコール分40%以上、ときには80%程度のブランデー、またはアルコールを添加して、ワイン全体のアルコール分を15〜22%程度にまで高め、味にコクをもたせ、ワイン自体の保存性も高めたもの。
『2020年度 ソムリエ協会教本』より引用
『周五郎のヴァン』も、マスカットベーリーA と 甲州 といったブドウ以外に、フレンチブランデーも使用して造られているワインなのです。
世界各国の代表的な酒精強化ワインとして
- シェリー(スペイン)
- ポートワイン(ポルトガル)
- マデイラ(ポルトガル)
- マルサラ(イタリア)
- VDN ヴァンドゥナチュレル(フランス)
- VDL ヴァンドリキュール(フランス)
などが有名ですね。
名前だけでも聞いたことあるのではないのでしょうか。
山本周五郎『暗がりの弁当』
山本周五郎著『暗がりの弁当』内に『周五郎のヴァン』に関する文章があります。
『暗がりの弁当』内の「笑われそうな話」より
私に新らしいたのしみが一つ殖えた。マディラ(タイプと断ってある)という赤ブドー酒をみつけたことだ。
『暗がりの弁当』より引用
さらにこう続きます。
青年Kがそのブドー酒を買って来た。半ばばかにしながら啜ってみるとたいへんうまい、口腔から喉頭まで、やわらかくしみこむような味わいである。香りもやわらかであり、これまでに飲んだ和製ブドー酒のどれにも似ない、本当の「ヴァン」らしい「ヴァン」という感じがした。
「こいつは傑作だ、うまいね」と私はKに言った。
『暗がりの弁当』より引用
山本周五郎 お酒の話
『暗がりの弁当』より、『周五郎のヴァン』以外のお酒や食事に関する文章も紹介します。
「酒も食べ物も」では
「どういう物が好きか」と訊かれるたびに、私は「うまい物が好きです」と答える。皮肉でもないしふざけているのでもない、真実そのとおりなのである。
『暗がりの弁当』より引用

さらに
私は酒でもくいたしんぼで、日本酒はあまり好まず、葡萄酒、麦酒、ウィスキーなどを主に、銘柄や値段いお構い(下級のほうへ)なく、食べ物と口に合ったやつを飲む。特に葡萄酒は文学青年時代から好きで、貧乏だからメドックと大抵きまっていたが、ロースト・チキンの片股とパンと玉葱などを買って帰り、間借り部屋でこれらを食べ、メドックを流し込みながら売れない原稿と格闘したものであった。
『暗がりの弁当』より引用
「笑われそうな話」では
戦後も色々なブドー酒をあさった。吉田健一さんなどが「安酒」だと軽蔑するバルサックも相当ながし込んだし、シャトー・マルゴオの安いほう、その他もう忘れてしまった各種の赤白をずいぶんやってみた。
『暗がりの弁当』より引用
バルサックやマルゴーという言葉もさらりと出てきます。
ところで
マルゴーの安いほうって何でしょうね??
「ブドー酒・哲学・アイスクリーム」では、こんなショッキングな内容もありました。
彼の家につくと、早速ディキャンター瓶に入ったワインが出された。メドックだった。ところが、つづいて出されたものが、何と砂糖と湯だったのである。
「さあ、これを入れて飲みたまえ」というのだ。いささかびっくりした。それもここへ来るお客さんがみんなそうやって飲むというのである。
『暗がりの弁当』より引用

「胃袋パトロール」には一週間の献立のような表も掲載されていました。
夜の酒類の項目を抜粋すると
- 月:ビール、酒、ウィスキー
- 火:ビール、赤ブドウ酒、ウィスキー
- 水:ビール、赤ブドウ酒、ウィスキー
- 木:ビール、赤ブドウ酒、ウィスキー
- 金:ビール、酒、ウィスキー
- 土:ビール、酒、ウィスキー
- 日:ビール、赤ブドウ酒、ウィスキー
火曜日と金曜日の昼には黒ビールも飲んだことが書いてあります。
ビールは毎日ですね。休肝日無しですね。
山本周五郎が絶賛した甘口ワイン「周五郎のヴァン」まとめ
山本周五郎が愛飲していた甘口ワイン『周五郎のヴァン』いかがだったでしょうか??
デザートにもチーズにも合わせやすく、山梨のグレイスワインで作られたフォーティファイドワイン。
使用ブドウ品種が日本を代表する「マスカットベーリーA」と「甲州」というのも嬉しいですよね。
『暗がりの弁当』を読みながら飲めばさらに美味しくなること間違えないですね!!
それでは、また。
ぼくは相変わらず酒はワインとウィスキーがすべてだと思いながら、唯今も水割り白ラベルを啜っているのである。
『暗がりの弁当』より引用